【ドルコスト平均法は、本当にお得?】資産運用講座(数学編)
資産運用に興味を持ち始めると、ドル・コスト平均法という言葉をよく見かけます。
ドル・コスト平均法の内容はこちらで
(ドル・コスト平均法によって)基準価額が安い時に口数を多く買い、高い時に少なく買うことで、一口当たりの購入価格を下げることが可能です。
リンク先の説明では【毎月一定金額購入】と【毎月一定口数購入】で比較しています。
しかし、私は疑問に思ってしまいました。
【毎月一定金額購入】と【毎月一定口数購入】のパフォーマンスは、価格変動の仕方によって逆転したりすることはないのだろうか
というわけで、今日のお話はこちらです。
ドルコスト平均法のお得を、数学で証明する
前提条件
今日の記事は数学ⅡBの教科書内容から拡張した公式を使います。
使う知識
相加相乗平均によって以下が成り立つことは教科書の通りです。
$$\displaystyle \frac{a+b}{2} \geq \sqrt{ab}$$
これを拡張して、以下が成り立つことは使えるものとします。
$$\displaystyle \frac{a_1+a_2+a_3+…+a_n}{n} \geq \sqrt[n]{a_1 a_2 a_3 … a_n} \quad …① $$
この証明はこちらから→【相加平均と相乗平均の不等式 ~柳田 五夫~】
最初の2ページで証明が完了しています。
高校2年生までの知識で証明できていますね。
購入の仕方を設定
【毎月一定額購入】→毎月1万円ずつ購入します。
【毎月一定口数購入】→毎月1万口ずつ購入します。
どちらも \(n\) ヶ月間購入するとします。
また、\(k\) ヵ月目の1口あたりの値段を \(a_k\) 円とします。
毎月一定口数(1万口数)購入の、一口当たりの購入価格 \(B\)
まずは計算が簡単なこちらから。
毎月 \(a_k \times 10000\) 円 を \(n\) ヶ月間購入するので,
購入にかかった合計金額は \((a_1+a_2+a_3+…+a_n) \times 10000\) 円となります。
また、毎月10000口を \(n\) ヶ月間購入するので,
合計で購入した口数は \(n \times 10000\)
したがって,一口当たりの購入価格 \(B\) は次の通りです。
$$\begin{align} \displaystyle B &= \frac{(a_1+a_2+a_3+…+a_n) \times 10000}{n \times 10000} \\\\ &=\frac{a_1+a_2+a_3+…+a_n}{n} \quad (円) \end{align}$$
毎月一定額(1万円)購入の、一口当たりの購入価格 \(A\)
次に計算が少しややこしい定額購入についてです。
毎月 10000 円 を \(n\) ヶ月間購入するので,
購入にかかった合計金額は \(n \times 10000\) 円となります。
また、 \(k\) ヵ月目購入することができた口数は \(\frac{10000}{a_k}\) だから
合計で購入した口数は \(\frac{10000}{a_1}+\frac{10000}{a_2}+\frac{10000}{a_3}+…+\frac{10000}{a_n}\) となります。
したがって、一口当たりの購入価格 \(A\) は次の通りです。
$$\begin{align} \displaystyle A &= \frac{n \times 10000}{\frac{10000}{a_1}+\frac{10000}{a_2}+\frac{10000}{a_3}+…+\frac{10000}{a_n}} \\\\ &= \frac{n}{\frac{1}{a_1}+\frac{1}{a_2}+\frac{1}{a_3}+…+\frac{1}{a_n}} \\\\ &= \frac{1}{\left( \frac{\frac{1}{a_1}+\frac{1}{a_2}+\frac{1}{a_3}+…+\frac{1}{a_n}}{n} \right)} \\\\ &\leq \frac{1}{\sqrt[n]{\frac{1}{a_1}\frac{1}{a_2}\frac{1}{a_3}…\frac{1}{a_n}}} \quad (分母で①の相加平均 \geq 相乗平均) \\\\ &= \frac{1}{\sqrt[n]{\frac{1}{a_1 a_2 a_3 … a_n}}} \\\\ &= \sqrt[n]{a_1 a_2 a_3 … a_n} \quad (円) \end{align}$$
まとめ
以上の結果から
【毎月一定額購入】の一口当たりの購入価格 \(A\) については
$$\displaystyle A \leq \sqrt[n]{a_1 a_2 a_3 … a_n} \quad (円)$$
【毎月一定口数購入】の一口当たりの購入価格 \(B\) は
$$\quad \quad \quad \displaystyle B = \frac{a_1+a_2+a_3+…+a_n}{n} \quad (円)$$
したがって、①から
$$\displaystyle A \leq \sqrt[n]{a_1 a_2 a_3 … a_n} \leq \frac{a_1+a_2+a_3+…+a_n}{n} = B$$
となるので、
【毎月一定額購入】の一口当たりの購入価格 \(A\) の方が
【毎月一定口数購入】の一口当たりの購入価格 \(B\) よりも安いことが証明されました。
また、等号成立は \(a_1 = a_2 = a_3 = … = a_n\) のときのみです。
最後に
今日は文字や数式多めの難しいお話になってしまいました。
どこに需要があるんだ、こんな話(笑)
私が資産運用をするようになったきっかけは、三菱UFJ銀行に住所変更で窓口に行った
ときに、投資を勧められたことです。資産運用に興味はあったものの、難しそうだな
あと思ってなかなか踏み出せなかった私に、基礎の基礎から教えてくれました。
三菱UFJさんありがとうございます('◇')ゞ
ドル・コスト平均法をはじめ、NISA、インデックスファンド、バランスファンドと
いった言葉に、そのとき初めて出会いました。
結局1~2時間ぐらいずっと教えてもらったんですが、そこでは何も契約せず、
家で調べて、セゾン投信の口座を開きました。(三菱UFJさんごめんなさい)
今はセゾン投信ではなく、SBI証券や楽天証券を主に利用しています。
そして、資産運用を開始し3年のときを経て、三菱UFJのグループになっている
auカブコム証券の口座を開設することになりました。
巡り巡って資産運用で出会いなおすということに、なにか運命を感じます。
それではみなさんもよい投資ライフをお過ごしください。
ここまで読んでくださりありがとうございました( ^^) _旦~~